入院 1回目

第一章 発病

 それは、突然に起こりました。
 ある朝−正確に言うと、平成13年11月30日(金)の朝−学校に行くために起きると、左胸に激痛が走ったのです。
 一言でいうと、痛かった。二言で言うと、超痛かった。
 寝違いと思い、どうせそのうちに直るだろうと、飯を食って学校へと向かいました。
 しかし、痛い。かなり痛い。
 歩いては休み、歩いては休みしないと、痛みが増して我慢できませんでした。
 「こうなったら、逆療法で、思いっきり痛めつけたら直るかも」と、全力で走ってみたりもしたのですが、直るはずもありません。むしろ悪化したんです(当たり前。
 その日は体育があったので、「こりゃあ心臓が痛んでるんだったら、死ぬな」と思い、休んだのでした。
 次の日、家から割と近いところにある病院へ行きました。
 土曜日だったので、当番の医者が一人しか居ませんでした。
 左胸が痛むと言うと、心電図をとって、「心臓は大丈夫みたいだから、多分筋肉痛だね」とそのヤブ医者はひょうひょうとぬかしやがりまして、私に湿布の処方箋を渡しやがりました。湿布は家に沢山あるので、処方箋はポイと捨てまして、ずっと家の湿布を貼っていました。

 しかし、当然、湿布を貼って直るはずもなく、いつまでたっても一向に良くならないので、数日後に家族のかかりつけの綜合病院に行きました。
 恐らく、これはじいさんもやっている自然気胸だと思い、呼吸器科にかかりました。
 病院にはものすごく大勢の人が居て、3時間待たされた。「ゼェゼェ(´Д`;)(;´Д`)ハァハァ」しながら、ず〜っと待っていました。
 診療室に呼ばれるとすぐにお医者はレントゲン写真片手に「左胸が痛いんでしょ」と言いました。
 予想通り、自然気胸でした
 彼は続けて「今から入院できるでしょ?」と言いました。
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 │ え  /
 │ │  三
  ッ │  ─
 !!?. │ \
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彡 u. _,ィ
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 まさか即日入院されられるとは思っていたかったため、オロオロしていると看護婦さんが既に電話で病室の手配をしていて、「選択の余地は無いな・・・・」と悟りました。
 呆然としたまま病室に連れられましたが、入院の準備をしているはずも無いので、一旦家に帰らせてくれるよう頼んで、支度をしに家へと戻りました。
 バイト先が病院から近かったので、家に行く前に寄って入院する旨を伝えて、それからタクシーで帰ろうとしたのですが、タクシーが何時までたっても来ない。
 仕方ないので、市電で帰りましたよ。
 親が入院の準備をしておいてくれていたので、知り合いに連絡し、最後の晩餐を取ってから病院に行きました。
 ちなみに、その時もって行ったものは以下の通り。
 ・洗面用具
 ・服
 ・暇つぶしの漫画(あずまんが大王、刑務所の中、ねこぢるうどん等)
 ・勉強道具(殆どしなかったが)

第二章 入院
 初めての入院。
 ガキの時分は、たまに入院するクラスメイトがいたら「○○君入院できて良いな〜、カッコいいな〜」とかほざいておりましたが、タイムマシンがあったなら、そうほざいている自分をボコボコにして入院させてやりたいですな、あのボケ。

12月6日(木)
朝飯
食パン、豆パン、野菜サラダ、ヨーグルト、ロールパン、りんごジャム、固ゆで卵
ヨーグルト以外、まあ良くもここまで私の嫌いなものを取り揃えてくれたなという感じの朝飯でした。
この日は検査をする日でしたが、それまで暇なので病院内を探検しました。
地下には食堂や床屋や小さいスーパーがありました。スーパーでおやつを買い、病室に帰ってアイスを食っていると看護婦さんが来て「あれ?そのアイスどうしたの?あまり歩き回ったらだめですよ〜」とたしなめられました。

検査をたくさんされたのです。
一番きつかったのが、動脈からの採血でした。
普通は静脈からの採決ですが、これは動脈です。
動脈だから、腕の深くにあります。

ドクター「はい、ちょっと痛むからね〜」
俺「は〜い。・・・・・・・・うっ・・・ぐぐっ・・・・・・むぐぐぐぐっ・・・ッッッッッ!グギャーーーーーッッ!!!ぐぎゃぎゃgyがyがあがyがあ!!ひぎゃあああああああぁぁぁぁl(゚Д。;;)ああぁtぽいぎgじょあえおいrt!!!!!!!」


夕方、風呂には入れないので、看護婦さんが体を拭く蒸しタオルを持ってきてくれました。
そして、何と「背中拭いてあげようか?」とおっしゃるではありませんか!
こういうことは漫画とかナース物のAVの中だけの話だと思ってましたが、まさか本当にあるとは!
もう、心は「(;´Д`)ハァハァ、背中だけと言わず(以下検閲)」と言っていましたが、恥ずかしいので断り、自分で拭きました。
おお神よ!勇気の無い私を戒めたまえ!!


晩飯を食った後漫画を読みつつお腹を休ませていると、向かいの病室から「○○さーん、聞こえますかー?聞こえたら手を握って下さーい!」という看護婦さんの声や「おばあちゃん、何時まで寝てるの、もう夜だよ」という家族の声という、緊急病棟24時な声が聞こえてきて、とてもイヤーンな感じでした。

12月7日(金)
当時の日記をそのまま引用します。

早くシャバに出てぇ。
今、コートを着て外を歩いている中年男性は、病院の中にいる入院患者に羨望のまなざしで見つけられていることなど知る由も無いだろう。
朝から採血だった。
起床時間の前から。
そういや、今までの採血の結果を聞いていないな。
きっとあれは、看護婦さんが吸血病の子供に飲ませているに違いない。(※編集部注:当時、チャンピオンでそういう漫画がやっていた。)
風呂入って気持ち良かった。
あと、チャンピオン買いに下に下りて帰りのエレベーターで婦長さんとはち会わせして、怒られた。
別にいいじゃん・・・・・・・
(原文ママ)
この頃から大分精神が病んできたようです。
あと、風呂に入った時、看護婦さんが背中を流してくれる妄想をしていましたが、当然そんな事はなくてかなり残念でした。
馬鹿ですか、俺は?
それにしても、婦長さんとはち会わせしたのは、非常にドラマチックでしたよ。
病棟以外を移動するのを禁止されていたのですが、金曜日はチャンピオンの発売日じゃないですか。
だから、看護婦さんたちの目を盗んでエレベーターに乗り、キオスクで買って、ホクホク顔で帰りのエレベーターに乗ろうとしたら、乗っているじゃないですか、奴が!
一瞬心臓が止まりましたよ。
ドリフのコントかよと思いました。

12月8日(土)
大学の友人達が来ました。
嫌がらせで、お絵描きボードとか、かつらとか、いらねえ物を大量に買ってきやがりました。
ナースもののエロ本も貰いましたが、隠し場所に困りましたよ(*゚д゚)ゴルァ!

12月9日(日)
親がゲームボーイアドバンスと、ドラクエ3を買ってきてくれました。
これで暇つぶしが出来ると喜んだものです。
友達も来て、そのうち一人が怪しげな健康飲料水を持ってきてくれました。
飲んでみると、何とも脳天直撃セガサターンな味がしました。
どうやら万病に効くらしいので、飲み続けてみることにしました・・・・・

12月10日(月)
もう歩き回っても大丈夫というので、地下の店に買い物しようとエレベーターのところまで行くと、休憩所で80くらいとおぼしきじいさんが、看護婦さん二人に慰められながら、子供のように「ヒイ、ヒイイイイ・・・・・」泣いていました。
エレベーターを待っている間会話を盗み聞いてみると、どうやら病気がかなり進んでいるらしく、色々な症状が出て、じいさんがすっかりしょげてしまっているらしい。
あの歳になってもまだ生への執着心というものは強いものなのかと思った出来事でした。
じいさんの声をよくよく聞いてみると、毎朝大声で何やかんやと看護婦さんに文句やワガママを言っているじいさんでした。
いつもこのじいさんのせいで、朝気分が悪くなっていましたが、その泣いている姿を見るとそのことも許せる気がしました。
・・・・・なんて思うほど人間が出来ていないものですから、さっさとくたば・・・・・・(ゲフン
おじいさんの病気が早く良くなればいいなぁと、思いました。

12月11日(火)
外は大雪。
ずっとドラクエ3ばかりやっていました。
朝から晩までドラクエドラクエ。
ドラクエ3なんて恐らくドラクエシリーズで一番繰り返しやったやつなんですがね〜。
面白いからもう、何度でも。

12月12日(水)
先生にもう退院できるよと言われました。
でも親が「保険が適用になるのは金曜だから、それまで入院すれ」などと言ったので、入院延長するはめに。
保険ちゅうもんは真に恐ろしいものよのう。

12月13日(木)
明日退院なので、こころ踊っていました。
でも、この日の日記の最後にこんなことが書いてありました。
「先生、看護婦さんたちありがとう。でも、まだ左胸が少し痛いのはひ・み・つ(はぁと)
近いうちにまた戻ってきそうな予感」
まさかわずか2ヶ月でこの予感が当たる事になろうとは、その時は夢にも思っていませんでした。

12月14日(金)
退院しました。
先生とか看護婦さんに「体に気をつけて」と言われました。
具体的に言うと、
・大学に行く時、あのキツイ坂を登らないで、バスやタクシーを使うこと
・風邪をひかないこと
を注意されました。
でも、その後、この二つのうち一つも守りませんでしたし、守れませんでした。。
ごめんなさい( ゚v^ )テヘッ

終章 未来(あした)へ・・・・・

入院して、一つ分かったことがあります。
なぜ老人は入院したらボケるかという事です。
入院したら、毎日毎日同じことの繰り返し。
同じ病院内で同じ人たちと顔を合わせて同じ検査をして同じ時間に飯を食って寝て起きる。
これしか無いんですよ、病院って。
何も楽しみが無い。
夜中にこっそりと隠れてやるメールと、お見舞いだけが楽しみでした。
私も、まだ老人という歳では無いと思っていますが、それにも関わらずかなり頭がボケて行きました。
そして、毎日毎日、窓の外を見ては歩行者をじっと見つめていました。
まるで今より50も歳を取ったみたいに、頭が回らなくなっていました。
恐ろしいことです。
病院でネットできたら良いのにね〜。(こんなオチ)

入院 二回目に続く