ふんづまり展開に作者ゲリピー
−あけましておめでとうございます。
漫 あけましておめでとうございます。
−まずはストレートにデビューのきっかけなどから知りたいんですけど。
漫 はい。ちょうど3度目の大学受験に失敗し、親に仕送りを止められ途方に暮れていたところに、『週刊少年ジャンプ』で”GAGキング”っていうギャグマンガ賞の第1回募集が始まったんです。他のマンガ賞は15ページとか描かないといけないんですが、GAGキングはページでもOKという規定だったので、これは気楽に応募できそうだと、とりあえず何ページか送ったんです。そしたら、編集部からいきなり、「初代キングに決まりました」と電話があり、賞金50万円を頂き。しばらくその金で食いつないで、一命をとりとめました。
−それが「人間なんてラララ」ですね(最新刊『画太郎先生ありがとう…』に収録)。
漫 はい。そうです。
−そこから、トンガリキッズのバイブルといわれた伝説の漫画『珍遊記』が始まるわけですね。
漫 はい。トンガリキッズのバイブルだか何だかわかりませんが、確かに『珍遊記』は始まりました。
−『西遊記』をテーマにするというのは、最初から考えていたんですか?
漫 ちがう。最初のネームのときは、漫画家と編集者の戦いみたいな設定の物語を担当さんに出したんだ。そしたら、しばらくして、いきなり『西遊記』の分厚い小説が郵送されてきて、これをモチーフに、ロードムービー物を描いてみろって、つめたく言われました。
でも、中国の小説なんて、漢字が多くて面倒くさくて読みたくない。それで、読んだとウソをついて昔テレビでやってた『西遊記』の記憶をたどって、最初の3話目までのネームを描いたんです。
それを見せたら、これはいける!ということですんなり連載が決まり、トンガリキッズのバイブル『珍遊記』がスタートしたんだ。
−順風満帆ですね。
漫 バカ、それからが大変だったさ。なぜって、その先の展開を全然考えてないんだもの。連載が始まってから小説を読んでないことがバレて大目玉。そしたら、次の日、速達で諸星大二郎先生の『西遊妖猿伝』が郵送されてきました(笑)でも結局忙しくて、それも連載中は読みませんでしたけどね(笑)。
−じゃあ、本当に何の計画性もなく描いていたんですか?
漫 はーい!(右手を高々と挙げ、ピースサイン)
−それで、あの酒場における地獄の長丁場シーンに突入してしまうわけですね?
漫 はい。金に目がくらんで本当に先のことを何も考えずに始めてしまったんだ……。連載前に担当さんに「あまり先々の展開まで考えない方がいいよ。その方が作者自身も、読者といっしょにドキドキワクワク楽しみながら描けるから」とやさしく言われて、純だった僕は「ああ、そうなのかあ……」とその言葉を鵜呑みにしてしまい、本当に先のことを何も考えずに始めてしまったんだ。そしたら、実際はドキドキワクワクどころか毎日ゲリで、ブリブリピーピーだった。それでも、単行本1冊分ぐらいのところまでは、何とかストーリーを絞り出せたんですが……。そこから先は何もなくなっちまって……。うんこはピーピーよく出るんだけど(苦笑)。それでご承知のとおりの延々繰り返しのフン詰まりみたいな展開になってしまったというわけ……(うっすら涙を浮かべる)。担当さんには「とにかく町を出て物語を進めろ」って、やいのやいのせっつかれるんだけど、出るに出られない。出るのは水みたいなうんこだけ(泣き笑い)。
−なるほど。あのフン詰まりの展開の裏では、そんなにピーピーになるほどのご苦労をされてたんですか。そういえば、画太郎先生のお家芸でもあり、マンガ界に大きな衝撃を与えたコピーを多用するテクニックも、そのころ生み出されたと思うんですが……。あれは、手抜きでは……。
漫 これだけは声を大にして言っときたいのですが、コピーは最初から、すべてギャグとして意図的に使っています。決して手抜きでやったわけではありません。
−ちゃんと計算ずくだったわけですね。
漫 もちろんそうです。それに、同じ絵を二度も描くなんてめんどくさいですからね。コピーには、本当に感謝しています。それから、ついでに担当さんと編集部の皆さん、その節は大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。『週刊少年ジャンプ』の未来に幸あれ!!
−それで『珍遊記』を無事終えられてからは?
漫 あっちこっちブラブラ旅してた。作品の中で、町から出られなかったうっぷんを晴らすかのようにあっちこっち行ったね。『珍遊記』で稼いだ金が底をつくまで……。
連載終れば漫☆プー太郎
−で、金に困って『まんゆうき』を描かれたわけですね。
漫 まあ、そんなところだ。
−あの作品は、どんなコンセプトで?
漫 忘れた。とにかく、あの作品は失敗だ。次!!
−は……はい。では、今度は『まんゆうき』の次に連載された『地獄甲子園』について質問します。あの作品から執筆の舞台を週刊から月刊に移されたのは何かわけがあるのですか?
漫 週刊より月刊の方が楽だと思ったからだ……。しかし、その考え方は間違っていた。むしろ、週刊より月刊の方がきつかった……。
−えっ!?どうしてですか?
漫 月刊ていうのは締め切りが月に一度しかないわけだ。
−もちろん、そうですよ。
漫 ところが、僕は今まで週刊でやってたもんだから、締め切りまで1週間きらないとやる気にならないわけよ。
−ああ、なるほど、なるほど、話が見えてきました。ということは、月刊のページ数を週刊のスケジュールで描いていたというわけですね。
漫 そういうことだ。まあ、計画性のない自分が悪いんだがな(苦笑)。
−それはそれは、まさに地獄でしたね……。ところでやっぱり読者の反応って気になりますか?
漫 そりゃ、なりますよ!アンケートの結果次第では即打ち切りですからね。連載終わればタダのプー太郎ですもん、漫画家なんて。漫☆プー太郎ですよ(笑)。
−じゃあ、アンケートの結果が芳しくないと、それなりに読者サービスするわけですか?
漫 そりゃしますよ!!あらゆる手段を使って必死にね。『地獄甲子園』を見てもらえばわかると思いますけど、あれ実は外道高校との試合、最後までネーム出来上がってるんですよ。連載開始前にすでに。これまでの2作品の失敗に懲りて10話分ぐらいのネームを作ってからスタートしたんですよ、『地獄〜』は。ところが、連載開始早々、アンケートの結果がケツから2番目で、その後も低空飛行をし続けまして、こりゃ何とかしないとやばいってんで、前号を読んでなくてもわかるようにストーリーを読み切り形式にしたり、当時はやりのコギャルを出して、ストーリーを恋愛ものにもっていったり、プレステプレゼントをほのめかしたり、苦心惨憺したわけですよ。結果的にそれらはすべて裏目に出て、かえって作品の寿命を縮めることになったかもしれません。
でも、僕は『地獄甲子園』に関しては、まったく後悔していません。本当に精一杯やって完全燃焼しましたから、大満足です!!!
−しかし、結果的には『まんゆうき』『地獄甲子園』と2度続けてコケたことになりますよね。
漫 はい……。
−それで、その後エニックスが昨秋創刊した『コミックバウンド』で『ハートフルカンパニー』を連載。
漫 そうです。
−しかし5号で廃刊に。
漫 ……。
−今後の予定は?
漫 ありません……(声をふるわせて)。
−ありがとうございました。
(ダ・ヴィンチ2001年3月号より)
※Quick Japanのインタビュー(インタビューその2)
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